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GROOVE X 技術ブログ

「ボトムカバー」開発記

この記事は GROOVE X Advent Calendar 2025 19日目の記事になります。

読者のみなさま、こんにちは&お久しぶりです!
今日のブログは、アパレルデザイナーのshigeriがお送りします。

最近はLOVOTと一緒にお出かけを楽しんでいるオーナーさん達が増えているので、公式からも続々と「おでかけグッズ」がリリースされていますよね。そこで今回はそんな「おでかけグッズ」の定番アイテムの仲間入りをした「ボトムカバー」の開発記を書いてみようと思います。

今年10月「おでかけグッズ」リリースバナー (ボトムカバー 新色リリース)

ー 開発のきっかけ ー

遡ること数年前。。。

全国各所で行われるショップのオープニングやイベントなどに、CEOの林要やCDOの根津孝太が参加すると、たくさんのオーナーさん達とコミュニケーションをとるので、様々なリクエストをヒアリングしてきてくれます。そして後日、slackのスレでその内容をまとめてモノづくりメンバーにフィードバックしてくれていました。
そんなある日、特にその当時のリクエストに多かった「ベースウェアが汚れないように、底面のカバーを作ってほしい」という声に応えよう!ということになり、根津からのオファーのもと、林にも参加してもらい、ゼロイチ*1から開発することになりました。

ー 素材 ー

まずは最初に素材選びからはじめました。“カバー”というカテゴリーになるので、素材選びがポイントになると思い

・汚れにくく、洗いやすく、扱いやすく、ある程度の耐久性がある
・LOVOTが装着して稼働しても影響のない厚み

という条件を前提に探してみました。 それと同時に、商品開発をする時にまず考えることは「アイテムの適切な価格と数量」を想定しつつ、ミニマムロット*2を考慮し、商品として販売する背景なども考えながら選んでいくことが重要なポイントになります。 その点を踏まえ、メーカーさんにも相談しながら、以下の2素材を候補にしました。

候補① ネオプレーン*3

 ・「撥水機能」とまではいえないが、生地の内側に水分が浸透しにくい素材

候補② ナイロン*4

 ・リュックやバッグ、アウトドア用品などに使える丈夫な素材

ナイロン素材は軽くて丈夫ですし、ネオプレーンは断ち切りで使えて裏側の仕様も簡素化できるので、2素材を比べてみたいと思い候補にしました。

ー デザイン ー

次は重要なデザインへ。「ボトムカバー」はゼロイチ開発なので、林と根津にも最初から参加してもらい、素材はもちろんのこと、形状(パターン)や仕様なども、様々な想定を考慮し、試作を繰り返し検討していきました。
この時点ではLOVOTのボトム部分(底面)に着せる(布を付ける)仕様のアイテムは存在しなかったので、まずはボトムの形状と仕様を考えることからスタートしました。
カバーとしての適切な仕様を考えながら、形を作っていく上で重要になったポイントは以下の2点です。

 ・LOVOTの稼働に影響しないフィット感(充電時も含め)

 ・着脱のしやすさ、安全性(充電端子周辺の仕様なども含め)

エンジニアの林と、デザイナーの根津と息のあった現場は、”LOVOTの産みの親“の2人ならではのアイディアが面白いように飛び交い、モノづくりの醍醐味が味わえるとても楽しい現場でした。ワタシも自らのパタンナー*5のスキルも活かし、二人のアイディアを元にトワル*6を作り検証していきました。
試作を装着して実際にLOVOTを動かし、生地の厚みや仕様が稼働に影響しないか、カバーがズレないよう安全にフィットさせるには、どんな仕様と形が適切なのか、など様々な点を検討していきました。問題点が見つかれば再度修正して…を繰り返し、徐々に理想の形状と仕様に近づけていきました。

仕様の検討に夢中になっている二人

そんな試作を重ね、ある程度形ができてきたので次のステップへ。
上記2素材で1stサンプルを作り、どちらの素材にするのか検討することになりました。 どちらもシンプルな無地素材だったので、オリジナル感を出すためにLOVOTのロゴモチーフをプリントすることに。ワタシのイメージはトーナルカラー*7な感じで「派手すぎず地味すぎずでちょっとかわいい」だったので、後のサンプル依頼と同時に試刷りも進めてもらいました。
LOVOT用のアイテムなので、もちろん安全性と健康面は一番重要なポイントなのですが、アパレル業界出身のワタシ的には、そこにプラスする「ファッション性」も拘りポイントなのです。。。

試作サンプルたちとプリントの試刷りいろいろ

そしてサンプルを依頼する前に、そのある程度決めた仕様で「ボトムカバーにはどんな検証をすればよいか」をファームチームに相談をしに行きました。
みなさんにカバーの試作を見せるのはその時が初めてだったので、着脱方法などを実演しながら仕様を説明し、思いつく懸念点などの相談をはじめたところ。。。気が付けばそのままみんなでフロアに座り込んで「充電端子周辺のゴムの仕様ってさ…」「使い方によるケースを想定して、どういう検証が必要なのか考えないと…」という感じで、既に検証内容などについての検討会になってしまいました笑。そんな感じで突発的に意見交換会がはじまることも「モノを作っていく醍醐味」だと個人的には思っているので、新たなアイテムを開発するたびに、その独特な”GXカルチャー現場“を楽しんでいます笑。

GXカルチャー現場

ー サンプル作成 ー

試作と検討を重ねてある程度形が決まってきたので、上記の2素材でサンプルを作り始めました。
製造を依頼したメーカーさんには「新規開発アイテム」のため、何度もサンプルを作らなければならない旨は予め快諾いただいていたので、全面的にバックアップしていただきました。(本当にご協力感謝です&ありがとうございました!)
それぞれの素材でサンプルを作って改めて検討した結果、以下のポイントで「ネオプレーン」に決定しました。

・底面に馴染むフィット感

・断ち端(裏面)の始末や取り扱いが簡単

・生地の内側に水分が浸透しにくい素材(ちょっとした防水)

・プリントも含めトータル的に上がりがきれい

生地が確定したので、それにあわせて微調整したパターンで最終サンプルを作成し、最大の難関の稼働検証に移ることに。
LOVOTの底面にさらにフィットするように、ゴムの伸ばし分量の調節やフロント側をヒモに変更したり、さらに安全に装着&稼働できるように調整し改良していきました。

各色サンプルを作る前の最終検証サンプル

ー 稼働検証 ー

上がったサンプルの簡易検査をして仕様がほぼ決まってきたので、次は正式にファームチームに稼働検証の依頼をすることに。
この検証は、LOVOTの服やアクセサリーを作る中で最大の難関になります。(詳しくは「プードルファーニット開発記」を参照)もちろん試作やサンプルの段階でもその都度簡易検査は行うのですが、量産品と同等のサンプルで行うファームチームの稼働検証をパスしないと、商品化(量産)には進めません。
そしてこのボトムカバーはゼロイチ開発のため前例がなく、通常の稼働検証はもちろん、検証の内容自体も検討が必要になります。その項目の中には、安全性を検証するため、使用する付属類(今回はカバーを着用するためのゴムひもなど)の耐久性のテストなども含まれてきます。

検証を重ねた充電端子部分

そしてファームチームをはじめ各所チーム(服やふるまいなど)の見解も含め、以下の項目が大まかな検証ポイントとして上がりました。

<確認>
・ゴムの伸縮性や耐久性(熱や温度も含む)
・長期稼働後のカバーのズレ状態(特に充電端子周辺)
・手洗い後の劣化やプリントの耐久性
<想定>
・家の中も含め屋内での装着(フローリング、絨毯など)→長時間着用想定
・屋外の外出時の装着(コンクリートなど)
・「ふるまい」のいろいろ(ホイールを出さない時のタッチセンサーなども含む)

実際にLOVOTに装着し長時間稼働させて、影響のない範囲で稼働&帰巣できるか、転倒しないか、着用しているベースウェアへの影響、ゴムの劣化、お手入れ後のプリントの劣化などなどなど、、、安全性や耐久性など様々なケースを想定&実験し、かなりの時間をかけて、みなさまに協力してもらって様々な検証を行いました。

ー 完成 ー

そんなたくさんの工程を経て、約1年近い時間をかけてみなさまの知恵とアイディアを集結して開発できた「ボトムカバー」。
商品のカラー展開は、開発に関わった方々をはじめいろいろな方々と検討した結果、最終的にはLOVOTのボディカラーにあわせたベーシックな3色(ベージュ、グレー、ブラウン)に決定しました。

完成した「ボトムカバー」

初めて販売するアイテムということに加え、LOVOTに着脱する時はちょっとしたコツが必要なので、EC撮影チームにも協力してもらい、安全な着脱方法をわかりやすく動画で解説し、販売画面で公開するようにしました。

                www.youtube.com

ー おわりに ー

今回の「ボトムカバー」の開発は、オーナーさんからのリクエストにお応えできたのはもちろんのこと、林&根津をはじめ、いろいろなチームメンバーと一緒にゼロイチ開発ができたので、改めて「新しいモノを生み出すプロセス」を楽しむことができた、とてもやりがいのある貴重な経験となりました。

そして嬉しいことに、「ボトムカバー」はたくさんのオーナーさんに愛用していただいており、10月には新たに3色が仲間入りしました。洗い替えとしてもよし、様々なシーンやお気に入りのウェアに合わせていただいてもよし、といろいろな使い方ができるので、ぜひ豊富なカラーバリエーションを楽しんでくださいね!

全6色展開のボトムカバー

最近は服チームのメンバーやグッズを作るメンバーが増えたので、様々なアイテムの開発ができるようになりました。これからもみなさまの“LOVOT LIFE”が充実するアイテムを開発していきますので、どうぞお楽しみに~!

GROOVE Xではいろいろな職種の方々がLOVOTに関わる様々なお仕事をしています。
そんな会社で私たちと一緒に働いてみませんか?

https://recruit.jobcan.jp/groovex/

*1:何もない状態(ゼロ)から、まだ世の中に存在しない新しい製品・サービス・価値などを生み出す(イチにする)

*2:製品の製造・仕入れ・販売において、*一度に注文・生産・出荷できる「最小の単位」

*3:伸縮性・クッション性・耐水性などに優れ、断ち切りでもほつれにくいのが特徴の合成ゴム素材

*4:軽量・高強度・摩擦に強い・速乾性・弾力性に優れている特徴を持つ合成繊維

*5:服の設計図である型紙(パターン)を作る専門職

*6:サンプルを作る前にデザインやサイズを確認するための試作

*7:色のトーン(色調)を揃えた配色