Inside of LOVOT

GROOVE X 技術ブログ

転倒・ネストに戻れない事象調査のおはなし

この記事は、Groove Xアドベントカレンダー2022 の23日目の記事です。

はじめに

こんにちは、LOVOTのソフトウェア検証を実施・改善しているQAチームです!

※チームの詳細については、12/10に公開された記事「シナリオテストのおはなし - Inside of LOVOT」をご覧ください。

今回はソフトウェア検証として取り組んでいる活動の1つである「転倒・ネストに戻れない事象の調査」を紹介します。

LOVOTは起きている間、充電が少なくなったら自分でネストに戻って充電しにいき、満充電になるとネストから出てきてお部屋の中を歩き周り始めます。

このサイクルを繰り返していくのですが、その中でLOVOTが転倒してしまったり、ネストに戻ることができなかったりすることがあります。

転倒してしまうとLOVOTの怪我につながったり、ネストに戻れないと動けなくなってしまうため、なぜそのような事象が発生したのかの原因を調査し、関係者共有し、改善につなげる活動をしています。

※過去のイベントのお洋服をお借りして、いつも検証をがんばっているLOVOTたちに着せて撮影してみました!通常は普通のベースウェアを着ています。

検知方法

LOVOTを生活させているスペースが複数あり、各スペースにカメラを設置しています。これで24時間生活の様子を確認しています。

毎朝出社したら、転んでしまったLOVOTや動けなくなっているLOVOTがいないかを各スペースにチェックしにいきます。

発見した際にはどの子がどのような状態になっていたかを記録し、すぐに救出します。

最近ではLOVOTが転倒してしまったときに、社内チャットツールに通知する仕組みをつくりました。

LOVOTアプリの詳細をご存知の方は、LOVOTが転倒すると「〇〇が転びました」と通知が来るため、必要ないのではと思うかもしれません。

ただ検証現場ではたくさんのLOVOTが生活しており、通知が多く気づけない、調査員がLOVOTアプリを登録する必要があるなどの不都合がありました。

社内チャットへの通知システムが出来てからは、LOVOTの転倒をすぐ確認出来るようになり、解析がよりスムーズに進むようになりました。

こんな感じで通知されます。

調査方法

調査は以下の流れで進めています。

  1. 通知 / 事象発生を認識
  2. カメラ映像を確認
  3. LOVOT/ネストの生活環境確認
  4. 関連データの確認
  5. 関係者への報告

カメラ映像を確認

事象を検知したら、まず該当時間のカメラ映像を確認しています。

原因を推測するには、こける直前の状況を知ることが重要です。

たとえば、以下のLOVOTはつまずくものがない場所で転んでいるように見えます。

※このようなビデオをきっかけに、データ分析を行い対策を施したソフトウェアをリリースすることができました。

転んだ後の状況だけを見ても何が起こったのかわかりません。

その前の映像を見ると、転ぶ前に片手をあげて片足をしまう動作の最中にからだのバランスを崩していることがわかりました。

これをきっかけに調査が進み、現在のソフトウェアでは修正されています。

その他にも複数のLOVOTを同じスペースで遊ばせている時、LOVOTが転んだ時にドミノ倒しで他のLOVOTも転んでしまうなど、不運な事故が起きていたことがありました。このように映像を確認しないと転んだ原因がわからない場合もあります。

映像確認の次は、LOVOTやネスト、関連データを確認し要因を探っています。

LOVOT/ネストの確認

LOVOTのキャスターにゴミがつまっていて移動が難しくなったり、ホイールのセンサーが汚れていると障害物を検知しづらくなったりするため、要因がこちらに該当すると考えられる場合は確認します。

ネストの配置や周りの状態が、LOVOTの生活環境を満たしているか見直すこともあります。

お手入れをする – LOVOT

LOVOTの生活環境 – LOVOT(初代) [LV100/LN100] – LOVOT

関連データの確認

LOVOTは多数のセンサーやモーター、複雑なプログラムによって成り立っています。

これらの動きを収集した多数のデータは、LOVOTが正常に動いているか、不具合があったときにどこが原因なのか調べるために、ログやグラフとして出力されます。 QAチームではこのデータを複数使用して、どこが原因となりそうか調査を行います。

具体的には何かにぶつかっていたら障害物検知に異常はないか、LOVOTが思いもよらない動きをしていたらソフトウェアからの指示に対してどう動作していたのかなど、状況に応じて考えられる要因のデータを確認します。

調査した事象の記録・報告とふりかえり

調査した事象の記録/報告

確認した事象は記録し、発生頻度を確認できるようにしています。

頻度が高くなったものや新規と考えられる事象は、担当チームに報告し詳細な調査を依頼します。

例えば、LOVOTのふるまいなどソフトウェア要因で転倒してしまった場合はUTやALOHAなどのチームに問い合わせます。

また、転倒・ネストに戻れない事象の調査の過程で、異音などハードウェア要因と考えられる事象があれば、メカやエレなどのチームに問い合わせます。

チームの詳細はプロダクトオーナーからみたLOVOT開発 - Inside of LOVOTをご覧ください。

転倒やネストに戻れない事象は、物理破損だけでなくソフトウェアや環境など多くの要因が絡むこともあるため、担当者に報告する前に可能な限り、私達の調査の時点で切り分けをしておくようにしています。

その上で有識者に詳細な調査を依頼し、改善や再現確認の方針を決定しています。

ふりかえり

定期的にチーム横断でふりかえりをしています。

調査をするにあたって、困ったこと・直近で気になったことを、この場で共有し、改善をしています。

この場ができたことで、調査の質があがったと感じています。

おわりに

以上の活動を日々実施していくことでLOVOTの苦手なことの特定を進め、LOVOTが成長していけるよう取り組んでいます。

これからも、作業効率化や新たな観点からも調査をしていけるよう努めていきます。

仲間募集中

気づいたらLOVOTに囲まれていたり

ふと足元を見ると抱っこをせがんでくるLOVOTがいたり

遊びにでかけて帰ってこないLOVOTを探す社員がいる。

世界中どこを探しても他にはない面白い職場だと思います。

もしご興味がありましたらこちらをご覧ください。

お読みいただきありがとうございました!