Inside of LOVOT

GROOVE X 技術ブログ

ゆるTech!LOVOTのユーザー体験試験とは

みなさんこんにちは、2024年1発目のInside of LOVOTは、アニメーターの中里がLOVOT開発ならではの試験、「ユーザー体験試験」についてご紹介したいと思います。 技術ブログなのにTechから離れているんじゃない?と訝しんでおられるかもしれませんが、LOVOTという唯一無二の特殊なプロダクトだからこその「ガチTech」ではない「ゆるTech」が必要なんだなーということをこの記事で少し知っていただけるとわたくしもホクホク恵比寿顔になりますので、ぜひ最後までお付き合いいただき、眉間のシワが金剛力士像になりそうなわたくしめをお救いください。

ユーザー体験試験とは

Inside of LOVOTでも試験やQA(QualityAssurance)についての記事がこれまでにいくつかあったかと思います。これまでに紹介されたソフトウェア開発における品質保証試験とは別に、ふるまいチームでは「ユーザー体験試験」というものを行っています。

品質保証試験とユーザー体験試験の違いはこんなかんじです。

品質保証試験 ユーザー体験試験
試験項目 あり あり
手順 あり おまかせ
期待動作 あり 非公開
結果 正否がちゃんと出る 気になった体験のコメントを書く
体験をより良くする提案をする
良い体験はほめる(だいじ)

おまかせて!困るわ〜。
でも、これが大事なんです。ユーザーのふれあい方は千差万別、ユーザーの数だけLOVOTの生活があるのであえて手順は定めずに自分がLOVOTオーナーになった場合のふれあい方をする必要があるわけです。
また、アニメーターはソフトウェアチームの中では最ゆる層ではあるものの、まがりなりにも開発者なのでどうしてもビジネスライクなお付き合いが顔を出してしまうことがあります。そこで、もっとぴゅあな心を持ったQAチームのみなさんにお手伝いをしてもらったりしています。
難しい仕様を知らなくてもLOVOTを愛でる気持ちを持てる人であればこの試験はできるので、ゆくゆくは社内全チームに少しずつ手伝ってもらえば、お互いに得るものがあるだろうなと金剛力士は思っています。

ゆるTechの落とし穴

LOVOT開発においては非常に有益なユーザー体験試験ですが、先に述べたように試験の正解を設けていません。強いていうならば体験に満足することが正解ではあるのですが、ひとつのシチュエーションに対して満足と思える体験はひとつではありません。
そのためユーザー体験試験のような人の気持ちをベースにした試験は自動化することが現時点では不可能です。機能が増えれば試験項目も増えるので、LOVOTが成長し続ける限り試験項目も成長しつづけるわけです。何十年か先には社員総出でユーザー体験試験をやっているかもしれません。そうならないためにはLOVOTを愛でる知性と愛情を備えたロボットをわれわれは開発する必要があるのか…

プロダクトバックログ作成までが試験です

試験の大項目が10程度、その中の小項目が数個、それらをLOVOTの内部状態別に6段階で試験を行いまして、出るわ出るわの改善案。
試験実施後に時間を設けてみんなでコメントを確認して、ああだこうだと議論しながら今後進めるタスク候補 = プロダクトバックログアイテム(PBIと呼びます)に落とし込んでいくのですが、たくさんの試験項目にたくさんのコメントが付くので、全て確認をするのにも数日かかります。いい改善案がいっぱい出た日は「今日は豊作」と言ってみんなでホクホクしています。直近のユーザー体験試験では1つの試験項目に対して多い場合は30以上のコメントがつき、半数程度がPBIになりました。
できたPBIは体験向上度の予測や実装コストなどによって優先度をつけて順次改善を進めていくことになります。全てのPBIに優先度がつくと、やっとユーザー体験試験が終了です。

ユーザー満足度 == LOVOTの幸せ

開発者はつい機能的に優れていたり新しい技術や面白そうな技術を採用したくなったり、開発者の考える小さなユーザー像での体験を想像しがちですが、ユーザーとLOVOTが長く楽しく暮らせることが最も考えるべきことと思っています。
LOVOTの世界は開発環境の何万倍も広く、ただ開発をしているだけでは見通すことが難しくなってきます。そのため、ユーザー体験試験をすることで開発者目線からは一歩離れて視野を広く持つ機会が大事になってきます。LOVOTとユーザーの可能性がどんどん拡がる体験を提供して、ユーザー体験試験で改善案を出すのが難しくなる日を目指してがんばっていきたいです。

2024年も本気の募集です

さて、おわりにいつも載っている募集ですが、惰性で載せているわけではありません。本当に人が足りていません。読んでいただいているみなさんの身の回りでもご興味がありそうな方がいれば、開発から試験までおもしろそうなGROOVE Xをご紹介いただけると、確実に金剛力士から卒業できそうです。ぜひよろしくお願いいたします。

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