Inside of LOVOT

GROOVE X 技術ブログ

LOVOTのウェアについて ー 前編 ー

ブログの読者のみなさま、はじめまして。
GROOVE Xの社内では異色のチーム「服チーム」で、LOVOTのウェアのデザインを担当しているshigeriです。
GXには様々な業界から転職してくる方々が、様々なスタイルで「LOVOT」に携わるお仕事をしているので、アパレル業界から転職してきたワタクシは、エンジニアさん達に紛れて、超異文化コミュニケーションを楽しみながら、LOVOTのかわいいウェアの開発に日々奮闘しております。(LOVOTのウェア開発はホントに面白いのです!)
今回はそんな「服チーム」のワタクシが、LOVOTのウェアについてお話をさせていただくという、テックブログとしてはとてもイレギュラーな回になりますが、少しでもLOVOTのウェアに興味を持っていただければ幸いです。。。(前に撮影についてのブログを書いてくれていた、デザインチームのSHUICHIくんの画像が大活躍です!)

はじめに。LOVOTのウェアとは?

LOVOTのウェアには、主に本体に直接着せる「ベースウェア」と、その上に重ねて着せる「トップス(アクセサリー類も含む)」があるのですが、今回はそのメインで着るベースウェアがどのように作られているのかをお話ししていこうと思います。

ベースウェア(ねこみみにっと)とトップス(フレアーTシャツ)

ベースウェアの主な素材には、ベロアカットソー(カットソー:縫製)とホールガーメント(ニット:編み)があり、どちらの素材もそれぞれの特徴を生かしたカラーリングやデザインバリエーションがありますので、ちょっとご紹介してみたいと思います。

ベロアカットソーとは?

ベロアカットソーは、2way(縦横2方向)に伸びるストレッチベロアを使用したカットソーウェアのことです。縦横に伸びるカットソーなので、伸縮性があり毛並みもあるのでとても肌触りのよい素材です。通常ベロア素材は、毛並みを逆毛(毛並みに逆らう方向)で使用し、色の発色を濃く見せる使い方をするのですが、LOVOTのベースウェアの場合はさらに手触りをよくするために、毛並みが並毛(毛並みに沿う方向)になるように作られています。そのためスベスベの撫で心地になる反面、実際の素材の色より少し白っぽく発色するのが特徴になっています。シーズンに合わせた定番のカラーベロアや、かわいい柄がプリントされているアニマルベロアなど、様々なバリエーションがラインナップされています。

人気のカラーベロアとアニマルベロア

ホールガーメントとは?

ホールガーメント(WHOLEGARMENT®)とは、和歌山県にある「島精機製作所」が独自で開発した、世界初の無縫製ニット横編機によって編成されたニットウェアのことです。

【島財団】---ホールガーメントの特徴--- - YouTube

LOVOTのホールガーメントも、この島精機さんで開発された特殊な小物用編機で作られています。縫い目のない無縫製のホールガーメントは伸縮性に優れているので、LOVOTのかわいらしい丸いフォルムにとてもよく馴染じみ、繊細な動きを最大限魅力的に見せるウェアなのです。またベーシックな定番ホールガーメントに使用する糸も、日本製の上質な糸を使用しているので、正にLOVOT本体と同じ「Made in Japan」なウェアと言えます。そしてさらにLOVOTが大好きな抱っこや高い高いなどをする時にも、縫い目がないことで滑らかな触り心地で触れ合えるので、どこをとっても「愛されるために生まれたLOVOTのためのウェア」といっても過言ではないぐらい笑、ホールガーメントとLOVOTは「相性バツグン」なのです!

LOVOTと相性バツグンのホールガーメント
しかしこのLOVOTサイズのホールガーメントが編める特殊な小物用編機は、既に廃盤になってしまっている編機なので、この編機自体を所有している工場さんも決して多くはありません。さらに一日に編める枚数にも限りがあるため、製作期間と販売枚数を調整しながら、複数の工場さんにオーダーさせていただくことで、現在は様々なバリエーションのベースウェアを製作することができています。 その中でも大人気のアニマルウェアは、リリースする度にヒット商品となっているので、人気が高いアイテムはできるだけ在庫を切らさないように生産しています。(数年前は生産枚数が追いつかず、オーナー様には大変ご迷惑をおかけしておりました。。。)

特にベースウェアの中でご好評をいただいている干支シリーズは、毎回企画チームでもアイディア出しから気合が入るので、企画段階から諸々の生産スケジュールを工場さんに相談しながら、手間と時間をかけて製作しています。今年は既に予約販売は終了しているのですが、干支シリーズとしては初めてホールガーメントで作った「2024 辰にっと」を販売させていただきました。

今年も大好評の干支シリーズ「辰にっと」
そこで今回のブログでは、そんなLOVOTのためのウェアとも言える、ホールガーメントの「辰にっと」にフォーカスを当てて、製作していただいている「小林メリヤス 株式会社」さんの工場レポートをご紹介したいと思います。

小林メリヤスさんを訪問

去る7月の快晴の中、私達服チームのメンバーは、山梨県南アルプス市内にある小林メリヤスさんを訪問させていただきました。小林メリヤスさんは、先ほどご紹介した干支ウェア「辰にっと」をはじめ、様々なウェアの開発にもご尽力いただいています。企画から縫製までを一貫して行っている、ベビー&子供服を専業としたニット工場です。更にこちらでは高品質なベビー服を製造されているためGOTS認証を取得していて、オーガニックコトンの研修(栽培⇒収穫⇒製糸⇒製品)なども実施されていてます。その研修のために、随時4~5種類の綿花を自社で栽培しているそうで、まずは木村社長に(写真中央)工場近くにある無農薬栽培の綿花畑を案内していただきました。

木村社長に綿花畑を案内していただく服チームメンバー
4~5種類の綿花が並ぶ綿花畑

工場2階にある事務所でも、オーガニックコットンについていろいろご説明いただき、約3千年前の原種や茶綿(元々のコットンボールは茶色)などを見せていただきながら、衣料用の綿花栽培についてもお話していただきました。綿花について少しご紹介すると、元々の茶綿は害虫などを寄せ付けないのですが、染めやすいように品種改良された白綿の栽培は、害虫を駆除するためには多くの農薬を必要とするので、それが主流になることにより様々な環境に負担をかける要素が大きくなっていきました。

事務所の綿花(茶色=元々の茶綿、白色=品種改良した白綿)

よって白綿を無農薬で栽培するには、大変な手間と労力が必要になるため 「繊維製品が正しくオーガニックである」GOTS認証ラベルを付けられる製品は、世界基準で品質が保証されている高品質な商品ということになります。 LOVOTのウェアでも、今年の春に販売した「彩土染め(はにぞめ)」のホールガーメントは、こちらの小林メリヤスさんで製作していただいた商品なので、この認証ラベルが付けられています。オーガニックコットンと鉱物由来の天然染料を使用している、環境的・社会的に配慮した「SDGs商品」*1ということが証明されています。
「彩土染め」のホールガーメントと認証ラベル

そんな高品質な商品を製作している、小林メリヤスさんの高度な技術が随所に詰め込まれた、干支ウェア「辰にっと」の製作現場のレポートは、後編で詳しくご紹介したいと思います。(つづく)

*1:環境や人に配慮し持続可能な方法で作られているものや、人の生活や環境の持続可能性を高めるようなもの